雇用保険の在り方

NHKの調査によると、コロナ禍の中、非正規雇用者への雇用保険の受給資格が問題となっている。 雇用保険は保険支払期間が退職事由と重なっている。退職事由は企業都合か自己都合に分かれる。 企業都合とは企業側の判断による退職扱い、すなわち解雇である。自己都合は個人の様々な事由での退職である。 この退職事由の決定権は現状、企業サイドにある。 取材に応じた情報提供者は非正規雇用者であり、雇用保険制度の詳細を知らぬまま、企業の要請に応じ退職した。 退職事由は実質、解雇にあたるものの、退職後に渡される離職票の退職事由が「自己都合」とされていたのである。 この事由により保険受給資格が醸成されるに足る十分条件は1年間雇用保険料を支払ったかであった。 情報提供者は図らずも1ヶ月の支払い不足により、保険受給資格を否定されてしまった。 一つの望みは、退職事由を企業サイドが会社都合へと変更することであった。ハローワークには強制力はなく、 最後には裁判で事由を争うという手段しか残らない。
真面目に会社と自分のために働いてきたものが、 わずか1ヶ月の支払い不足で受給資格を得られないなんて、馬鹿なことがあるだろうか。 企業業績が苦しめば、当然、真っ先に非正規労働者が狙い撃ちされることは明白である。 雇用形態の多様化を政府は率先してやってきたが、負の側面をないがしろにしてきたことは、片手落ちである。 遅きに失するが、雇用保険料の在り方を議論するべきだ。
現状、雇用保険料率は正規、非正規変わりなく、 個人負担は月額面支給額の1000分の5となっている。特定業種では若干違うであろうが。僕が考える対策は、 一定期間の企業都合と自己都合のリスクを労働者が判断し、それぞれの料率で保険料を支払うというものだ。 料率は自己都合リスクを高めに設定し、例えばその場合で6か月の支払いを行えば、如何なる事由であろうとも、 受給資格を得られるようにする。そうして、ある一定期間で自己都合から企業都合リスク利率へ変更可能とする、といった具合だ。 また、料率を正規雇用者と非正規雇用者で分けるかだ。僕は正規雇用だが少々の増額には目をつぶる。 そうした柔軟な議論で料率・受給資格・受給期間を決定するべきである。さらに、悪質な企業がいるわけで、 退職事由を透明化させるべきだ。労働基準監督署を介して、離職票の退職事由を精査させること、 退職者への聞き取りを合わせて行うべきだ。訳のわからぬバカな政治家が多いが、 報酬に応じたしっかりとした仕事をして欲しいものだ。


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