経理業務

唐突に弁護士や税理士等の報酬にかかる源泉徴収税率が本年1月分から10%から10.21%に復興税の関係で変わっている ことを知った、という経験がある。大企業であれば経理関係の冊子が購読できるため、自分なりに情報が得られるが小企業はそうは いかない。税務当局から税制の変更点につき小冊子もくるが、もっと良い方法はないのか。国税局が中心となって全企業を管理下に おいて、サーバーに登録しておき、メールで法人税制度の周知徹底を図ってもいいのではないか。情報社会といいながら、 こういったシステムの有り様は前近代的な感じがし、日本はまだまだという感だ。帳簿の電子保存法が変わり、2023年10月から はインボイス制度が始まる。本格的な企業に対しての国家的な経理に関するデジタル化の到来である。勤務する会社でも、 既に請求書をPDF化して保存し、そのデータから経理仕訳を行っている。大企業では対応には人・物・金をつぎ込み可能であるか ら、中小の企業に比べたら、それほど大変ではなかろう。中小では人材にしても、さほどデジタルに詳しい者がいないであろうから、 苦労さがにじみ出るのではなかろうか。一番、厄介なのはインボイス制度だ。これが本格導入されれば、課税事業者、 免税事業者とも経理屋は業務負担が相当なものになるだろう。既に法人番号を取得している課税事業者は接頭辞にTをつけるだけで 請求書にその番号を記載し、請求書が法令に則ったものであれば消費税を請求できる。逆に、請求を受ける方で相手方のそれが同様に そうなっていれば仕入れ控除可能となる。 消費税額の算定方法はもらった金額から支払った金額を控除して決定するのが原則である。
問題は現在の免税事業者だ。税当局 に適切な仕入れ控除ができる、という企業番号を登録する、つまり課税事業者へと変更しなければ、一切、請求書に消費税を記載で きない。表示上、消費税額は含まれていないとなる。そうなれば、制度が始まって課税事業者が免税事業者から受けた請求書から 消費税を控除できないとなる。そうなると、消費税額計算で納付額が増加することになる。損益計算書に影響はないが、キャッシュ フローの悪化である。中小の課税事業者にとっては大打撃である。そういったことから、インボイス制度は免税事業者を取引から 排除するであろうような制度となってしまう可能性がある。混乱は避けられまい。
しかし、インボイス制度の対極にある、現在 の帳簿方式と呼ばれるものを先進国で採用しているのは日本のみではないか?当初よりインボイス制度を導入しておけばと思って しまう。おそらく自民党は選挙と増税の関係から自民党支援の日本全国にある零細企業の支持を失いたくなっかたのではないか。 消費税への認識が国民に行き渡り、将来の消費税増税への国民の嫌悪感情は、もうさほどないと考え今回、インボイス制度へ舵を 切ったのかもしれない。あくまでも個人的な推論である。

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