ミクロの需要曲線

ミクロ経済学での理論上の需要曲線は極めて厳密な理論構成をもとに導出される。需要について論じるならば、そういうことを 知っておいても損はないだろう。
個々人が財やサービスを消費して得られる満足度を効用という。効用を表す曲線群を無差別曲線群という。 左図は \(x\) 財及び \(y\) 財の2財だけを考えたものである。現実では多くの消費財・サービスがあるが、 問題の本質理解のための簡便法である。ひとつの曲線上の各点はバスケットと考える。すなわち、カゴに異なる単位数  (細かく分割可能) の各財が納められいる。個人はそれらバスケットの内容に応じて、合理的な効用度を決める。 つまり、合理的な選好が可能だと仮定するのである。また、効用に飽和が無い (満腹だから、もう十分は無い)。 横軸 \(x\) 財は右方ほど単位数が大きく、縦軸 \(y\) 財は上方ほど単位数が大きい。 点 \(p\) と点 \(q\) は同一無差別曲線上にあるため、選考の度合いが同一、満足度が同じ、選好を差別しない  (これが「無差別」の由来) ことを意味する。点 \(r\) は点 \(p\) や点 \(q\) より 選好されている。なぜか❓点 \(r\) での \(x\) 財を一定にしてみる、つまり 点 \(r\) から \(y\) 軸に平行な線を引くと、点 \(p\) や点 \(q\) がある曲線との 交点上の \(y\) 財より単位数が大きいことや、点 \(r\) から \(x\) 軸に平行な線を引くと、 点 \(p\) や点 \(q\) 上の曲線交点にある \(x\) 財より単位数が大きいことから、よりr点が 選好される。経済合理性かつ選好決定の仮定から、曲線上の任意の点 \(\left(x_{_0}\ ,\ y_{_0}\right)\) において、  \(x_{_0} \lt x_{_1}\) となった場合、当該曲線よりも、上方の曲線へと当該点は移動する。  \(y_{_0} \lt y_{_1}\) となった場合もしかりである。では、一方の財が増加しても同一曲線上に留まる場合は何か❓  \(x\) 財が増加すれば、その効用増加を相殺するために \(y\) 財が減少しなくてはならない。 そして、その減少度合いは減少による \(y\) 財の相対価値が高まるので、 \(x\) 財の増加度合いは徐々に 増えると仮定している。ゆえに、無差別曲線は原点に対して凸となっている。これを、『限界代替率逓減の法則』という。
図1の直線は家計の予算線である。 \(x\) 財の価格を \(p_{_1}\) 、  \(y\) 財の価格を \(p_{_2}\) 、所得を \(M\) とすると、  \(p_{_1} \cdot x + p_{_2} \cdot y \leqq M\) が成り立つ。異時点間の消費がない、すなわち、今期の所得を2財に配分 し尽くすとすれば、 \(p_{_1} \cdot x + p_{_2} \cdot y = M\) が成立する。家計は「効用を最大化する行動を取る。」 と仮定すると、効用最大化点は無差別曲線と予算線が接する点である。今は点Bがそうである。ここで、価格 \(p_{_2}\)  、所得 \(M\) を一定と考える。
価格 \(p_{_1}\) が上昇すると、図1の \(\dfrac{M}{p_{_1}}\) は小さくなり左方へ移動し、効用最大化点は 例えば点 \(A\) へ、逆に下落すると \(\dfrac{M}{p_{_1}}\) は大きくなり右方へ移動し、それは例えば 点 \(C\) へと移動する。これら効用最大化点での \((x\ ,\ p_{_1})\) の組み合わせを写しとったものが図2の 曲線であり、これが需要曲線そのものなのである。ここでは、正常財を考えている。下級財、劣等財という範疇がある。

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