素人為替レート決定理論 堅いことを言わず、脳ゲームと考えてやってみよう。アメリカで財やサービスを外貨交換すると
日本と同様に何でも買えちゃえますね。そこで、マネーを介さず、日本での同じ物で交換、すなわち物々交換が出来ちゃうとしましょう。
ネット世界ならダブルクリックかドラッグアンドドロップで簡単にできるかも?そこでは、当然、
アメリカの価格($)=日本の価格(Y)×為替レート=日本の価格(Y)×\(\dfrac{$}{Y}\)が成り立ちますね。
ここで、意味を拡張して、アメリカの価格をアメリカの物価水準、日本の価格を日本の物価水準にします。
ゆえに、アメリカの物価水準=日本の物価水準×\(\dfrac{$}{Y}\)となります。そして、等式変形して
となります。
ここで我流理論、「二国間の為替レートは二国間の物価水準の比(商と同意)で決定される。」次に分析してみよう。
文字だと冗長になるので、アメリカの物価水準をUS、日本の物価水準をJPとしましょう。すなわち、
分析のために、JPを一定としましょう。
何らかの理由で、USが上昇したならば、①の左辺も上昇し、右辺の為替レートも上昇します。
すなわち、右辺で$は基軸通貨1$で不変で、Yの値が小さくなることですから、円高を意味します。
JPが下落すれば、右辺も下落することで、Yの値が大きくなることを意味しますので、円安となります。
USを一定にすれば、分母にある、JPとYは同じ方向に動きますから、JPの上昇はYの値の上昇、すなわち円安、
JPの下落は円高です。JP一定のUS上昇と、US一定のJPの下落は①の左辺の比の方向が同じゆえに、
同じ結果、円高であり、JP一定のUS下落とUS一定のJP上昇は①の左辺の比と方向が同じゆえに、同じ結果、円安です。
これらの結果から、日本とアメリカでみたとき、相手国の物価上昇は自国通貨の切り上げ(円高)、
相手国の物価下落は自国通貨の切り下げ(円安)となるということ。さらに言えば、両国で物価上昇があっても、
USの値<JPの値のとき、①の比は低下であるから、つまり円安、逆であれば円高。
すなわち、相対的な相手国の物価上昇は自国通貨の切り上げ、相対的な相手国の物価下落は自国通貨の切り下げになる、ということ。
さらに拡張する。アメリカとしたけれど、基軸通貨はドルだから、
他の国の物価水準はドルで評価できます。つまりは、日米で得られた結果が、そのまま、他国とも同様に言い得るということです。
世界にくらべ物価上昇の圧力が弱かった日本にとって、円高圧力は、やはり、あったと思えますね。
でも我流理論はあくまで、非経済学我流理論であって、脳ゲームですよ。
少し、経済学らしくすると、ここで言った物価水準は名目物価水準で、為替レートは名目為替レートと言えます。
名目とは「目にそのまま映る値」とでも考えて下さい。経済学では実質と名目は峻別します。
抽象性・厳密性には乏しいですが、中学数学でも立派に分析できます。数学は実社会に役立たないと考える人は多いですが、
視野を大きく持つことを拒絶している気がします。僕は不等式を知っていて良かったと思った実務上の経験もあります。
数学がどこで役立つかわかりませんよ。エクセルで条件による場合分けを考えることもあります。それには基本的な
論理数学の習得が出来ていなければ太刀打ちできません。
(追記)上記、分析は高校3年理系で学ぶ、対数関数微分でやるとスッキリする。それぞれの変数を時間の関数と考える。
そして、1ドルいくらか、が為替レートであるからドル=1とする。両辺の対数をとり、微分する。
\begin{align}
\ln US(t) - \ln JP(t) &= \ln 1 - \ln Y(t) \\
\dfrac{\dot{US}}{US} - \dfrac{\dot{JP}}{JP} &= - \dfrac{\dot{Y}}{Y} \cdot \cdot \cdot ②
\end{align}
\(ln\)は底が\(e\)の対数(自然対数)に用いる記号である。自然対数の微分で\(\dfrac{d \ln f(x)}{dx}\)
= \(\dfrac{d \ln f(x)}{df(x)} \dfrac{df(x)}{dx}\)であり、\(\dfrac{df(x)}{dx}\)を
\(\dot{f(x)}\) [\(f(x)\)ドット]と表現している。 \(f\) を US とか JP に、x を
t に読み替えてみればよい。対数の真数は正数であるから、絶対値記号が必要だが、経済変量は正数を考えるので用い
てはいない。
②の左辺第一項がアメリカ合衆国の物価上昇率で、左辺第二項の符号を除く部分が日本の物価上昇率、右辺の符号
を除く部分が円レートの上昇率である。②の左辺が正、すなわち、アメリカの物価上昇率が日本のそれを上回っている時、右辺での
円レート上昇率は負であるから、円高傾向にあり、左辺が負であれば、右辺のレート上昇率は正で円安傾向となる。
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作成時、アメリカのインフレ抑制での金融政策で連銀が政策金利を引き上げたことにより、円安になっている。アメリカのインフレ
率が日本のインフレ率より大きいとすると、円高傾向になるのだが、上の議論でみる帰結になってはいない。上の議論
は実態経済に則した貿易でのレート決定理論であり、貿易以外で絡む要因は考慮していない。しかし、現実の為替市場は金融資金が
流れ込み投資対象となっている。つまりは、レートの攪乱項になっているし、現実のレート支配能力は金融の投資資金になって
しまっているのではないか、と類推できる。国家での為替介入によるアナウンス効果で投資家の投資行動を国家が想定するものへと
マインドを切り替えさせることは可能とみるが、その効果も以前よりも薄れてきた、いや、ほとんど一時的なものであろう。先物でも
論じたが、国家はきちんとした理論に則した制度を創りあげても、余計なものを認めてしまい、自らの首を絞めているとしか言いよう
がない。果たして国民の経済生活の安定に応えるべく真摯に考えた経済制度や、その運用を考えているのだろうか。疑問に感じる。
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