聖地を走る 2004アイアンマンハワイ

三浦由紀

 

ハワイ島コナ。トライアスロンをやった者なら1度は聞いたことのある地名。それはトライアスロンの最高峰アイアンマンハワイの開かれている場所であり、トライアスロンをやればやるほど憧れとして大きくなり、しかしまた、そこへの遠さに気づくことになる。    

その遠く憧れの地に私は運良く行くことになった。多くのアスリートは世界各国で開かれる予選を勝ち抜いてそこへ到達するのだが、私は世界で50人という、ある意味せまい穴ではあるが、抽選という本当にラッキーな方法で到達することになったのであった。

 

@アスリートとして降り立つ

 

10月13日(水)

選挙前でただでさえ忙しいのに1週間も家を空けるということで、朝から仕事を片付けるのにてんてこ舞いである。何とかやりくりをつけ昼過ぎに大分を出発、高速を福岡空港へ向かう。

空港到着後、3日前に宅急便で送っておいた自転車を受け取りチェックインに行こうとするが、運悪く修学旅行生と重なり大行列の一番後ろに並ぶはめになる。しかし万事塞翁が馬で終わりのほうにチェックインしたため、エコノミー席がいっぱいになり我々夫婦はエグゼクティブクラスにアップグレードしてもらえた。

福岡空港のJAL便とはなぜか相性がよく、これで昨年の12月より4回連続のエグゼクティブクラスである。8時間という飛行時間を考えるとこの席の差は雲泥の差である。

快適な空のたびを終えホノルル空港に到着。いったん米国への入国手続きをし、国内線ターミナルへ移動する。ホノルル空港からは国内線のアロハエアであるが、日本の国内線とは異なり席が決まっておらず早い者勝ちである。

窓際を取るべく早々とゲートに行くが並ぶ方向を間違えてしまい、良い席は取れず翼の上であった。

約40分の飛行でハワイ島コナ空港へ到着する。以前この地へ観光できて飛び立つときに次はアスリートとしてここへ降り立つと固く誓ったのであるが、わずか2年、本当にアスリートとしてこの地を踏むことができた。感無量である。

予約をしてあったレンタカーを借り、メイン会場となるキングカメハメハホテルに向かい、1時よりの日本語ブリーフィングに若干遅れて参加をする。

ブリーフィングに来ている面々を見てみるとさすが決勝レースで、多くの顔ぶれが他のロングのレースで見たことのある顔ばかりである。

ブリーフィングの内容としては特に他のアイアンマンとかわりがないのだが、とにかくルールには厳しいということで、ドラフティングやエイド以外での飲食物の提供や、伴走等は絶対しないよう言われたのが印象的で、さすがチャンピョンシップと感心をしたのであった。

ブリーフィングが終了し、雑談となったところでプロの小原選手やコリア&マレーシアで一緒だった浜島さんのところへ挨拶に行き硬い握手をする。もうこの瞬間から土曜日に向けテンションがあがり始める。

もう少し彼らと話をしたいのだが、登録締め切りの時間が迫っているので、走って登録に行く。日本人ボランティア通訳の手伝いもあって楽に登録も終え、次に妻の分のアワードパーティーの入場券を買いにホテルの中をさ迷い歩く。

ちょうどプロの谷選手がいたので、“谷さんこんにちは”と声をかけると“えっ”というような顔をしている。おそらく彼としては口では言わなかったが“何で三浦さん、あんたがここにいるの?”といった感じだったに違いない。

まぁ、聞いたおかげでチケットの販売場所はすぐにわかり購入することができ、これで今日やらなければならないことは全て終了。あとは街をぶらぶらした後、ホテルにチェックインする。

今回のホテルはコナリーフというコンドミニアムで当然海に面しており、ロケーションとしては申し分のないホテルである。

しばらく体を休めた後、夜はコナより40kmほど北にあるワイコロアという高級リゾートへ行き夕食を食べ、アイアンマンハワイへの旅の初日は無事終了した。