神楽ミニ解説

天の岩戸の神事を主体に五方礼始に始まり、岩戸開きで終わる12番を地区の五穀豊穣祈願・感謝祭として構成されたものです

1番 五方礼始
  天御中主神がこの国の五方を定め、土地の不浄を払い清める。
  東(木の神・緑) 西(金の神・紫) 南(火の神・赤) 北(水の神・白) 中央(土の神・黄)
  神楽を奉納するに当たり五方を清める舞とも言われている。

2番 五穀蒔
  須佐之男命が天の世界から追われ下界に下って食べ物を求めたときその食べ物の出し方を怒って神を斬り殺す。
その遺体から五穀の種が生え、その種を蒔いて五穀豊穣を祝う。

3番 平 国
 天神達が国土建設のため国内に荒ぶる神達を各地に平定する物語で、初心者によって舞われるのを常とします。

4番 柴曳き
 天岩戸を開くため、天の香具山の榊を根こそぎにして岩戸の前に飾る。その様子を四方の榊を力量感よく曳き、
荒れる神楽は勇壮で子供達に人気のある舞です。

5番 布 晒
 姫が神衣をよく洗い、よく濯ぐ様子を水神が道化役で現れ姫の真似をする。水神は全くの素人が飛び入りで舞い、
観衆の興を添えます。この神楽は、厳粛な神楽の間にくつろぎをいれたものと言われている。

6番 降 臨
  天照大神から三種の神器を授かり、天孫ニニギ之命は、鼻天狗の猿田彦命を先導に諸神を従えてこの国は日向
の高千穂の峰に降りられたと言う神話の舞です。祭の庭に神の降下する事をとくものとも言われる。

7番 天降遣
 出雲の国を天孫に奉還を求める物語で、三神から奉還を命ぜられた建御雷命と布津主命が大国主命に会見し国
譲りを伺い、驚いたり、恐れたりしていたが、国譲りに同意する舞で、大国主命が道化た姿に表現されているところ
から別名「チャレ神楽」とも呼ばれている。

8番 貴見城
 貴見城とは、天上界にある王城のことで、天神達が舞い踊って歓びをつくす様子を舞にしたものであり、神楽の衣装
見せの意味も兼ねていると言われている。

9番 神遂
 須佐之男命が悪行重ねるため高天原から追放される様子で、須佐之男命が神々を相手に太刀と弓矢で攻め合うが、
ついに力尽きて出雲の国に落ちてゆく勇壮な舞です。

10番 蛇切
   9番の読編に当たる大蛇退治の物語、高天原から追われた須佐之男命は出雲の国で老翁・老婆と乙女の櫛稲
田姫を中にして、嘆き悲しむ様に出会い、乙女が八岐大蛇に呑まれる運命を知り、乙女を譲り受ける代わりに、大蛇
を退治するという舞です。

11番 綱切
 綱を大蛇に見立て、須佐之男命の大蛇退治にならい、これを退治することにより諸願成就を祈念して悪鬼悪魔を
五方(東西南北中央)に切り鎮めるという舞で、非常に動きが速く目まぐるしく、老練な人によって舞われています。

12番 岩戸開
 天照大神が天岩戸にお隠れになったのは須佐之男命の悪行からであり、天地は暗闇となった。そこで、八百万
神が天の安河原に集まって対策を協議し、天宇受女命が神がかりになり踊り、大神が不思議に思い岩戸を少し開
けたところを力自慢の天手力男命が岩戸を開いて、大神を出し奉るという舞です。天照大神には幼児が荘し興を添
えます。

神楽各番とも神話の物語から構成され、筋書きが解りやすく日本人の神への敬けんな祈りを込めた芸能であり、現代人の郷愁を誘う心のふるさとです

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