高温ガス化直接溶融炉のシステム概要  


 この焼却炉には、最新鋭の公害防止システムが完備されているとともに、施設内で使用する電力のほとんどをまかなうことのできる、ごみ溶融の余熱を利用したボイラータービンによる自家発電設備を備えています。ごみを溶融するためには、熱量を補うために副資材としてコークス(石炭から不純物を除いたもの)を添加することから、二酸化炭素を多量に発生するのではないかとの心配も聞かれますが、商用電力の供給を最小限におさえることからみれば、最終的には地球環境に優しい施設であるといえます。

 ごみはまずコークスや石灰石とともに溶融炉で1600℃以上でとかされます。溶融物を水砕すると、スラグ(砂)とメタル(鉄)ができますが、スラグはコンクリートブロック等を造るときの砂の代用品や舗装の路盤材等に使用されていますし、またメタルは、建設重機やエレベーターなどのカウンターウエイト(重り)等に利用されています。
 溶融炉から出た可燃性ガスは二次燃焼炉に導かれ、ダイオキシンを完全に分解するために、更に700℃以上の高温で旋回燃焼させます。このときの熱を利用してボイラーでつくられた蒸気の力で、タービンを回転し発電することができます。この施設は2炉運転時で1、600KW/Hの発電能力があります。
 ボイラーから出た燃焼ガスは、減温塔で水噴霧により冷却され、消石灰や活性炭を加えられた後、
濾過式集塵器に導かれ、ガス中の灰分を取り除かれます。その後きれいになったガスは、白煙を防止するために再加熱され、煙突から大気中に放出されます。
 また濾過式集塵器から出た飛灰は、今現在の最新設備である
「加熱脱塩素化装置」を通すことにより、飛灰中のダイオキシンを限りなく少なくし、さらに重金属安定剤(キレート処理)で昆練したものを最終処分場に運搬して埋め立てます。 最終的に溶融炉から搬出し最終処分場に埋め立てられる溶融飛灰は、
ごみ重量全体の3.5%程度の少ない量です。いままでは不燃ごみを含めて、ごみの約25%程度が埋め立てられていたことを考えれば、飛躍的に埋め立て量を減少させることができるようになります。また今までの焼却炉ではダイオキシンや温度等の問題で焼却できず、最終処分場で埋め立て処分されていたプラスチックやビニール類を掘り起こし、新しい施設で再溶融し減容化することで、最終処分場の延命化をはかることができます。
 この他にも公害対策として、施設内で使用される水は全て処理され再利用する
クローズドシステムにより、施設外に排出しないようになっています。
 このように様々の最新の技術を結集したごみ焼却プラントですので、その運転監理にも最新の計装システム技術が採用されています。運転は全て中央制御室から
「DCS(分散型電算機システム)」によりコントロールされ、24時間連続でごみを溶融していきます。

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