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写真のように、ST管のテストオシレータから現在プロの世界で使用されている電測計まで、各種無線・電子機器用の測定器が、ん十年間に集まってきました。 故障した場合はメーカー修理はほぼ絶望的(古すぎる、費用面で)な為、自己修理となるわけですが特殊な部品が原因の場合は、解体して部品取りとなります。(合掌)  但し、測定器に使用されている部品は高品質のものが多く貴重なものとなっています。小生の保有測定器についての基本的考えとリストは下記のとおりとなります。
 保管測定器の修理例も掲載しておりますの
 でご参考に願います。

較正について 小生が入手後正規機関(国、MKK、メーカー等)での較正は行っておりません。 よって、測定にて得られた結果は電波法の規定による測定データとしては使用出来ませんのでご了解をお願いします。  測定値は技術的興味による参考値としての扱いとなります。
では、全く信用の出来ないデータなの? とは思っておりません。  測定器は通常発信器に対しては、レベル計また、SGに対しては、スペアナ・電測計というふうにお互い逆の機能を持ったものが通常存在します。 測定値に大きな誤差が発生した場合はそれらの対向する測定器にて確認する。 又、操作方法は異なるが他の同項目の測定が可能である測定器(同型予備も含む)を保有しており、年に数度はこれらの測定値差異をチェックすることにより大きな誤差はないものと考えています。自作品の評価や修理には十分使用出来る誤差レベルと認識しています。
高周波系測定器 終端型電力計(フジソク50Ω) 通過型電力計(バード、フジソク計3台)、電測計(アンリツ中波〜極超短波計5台)、バルボル(アンリツ、パッド含む)、SG(アンリツ、松下計3台)、周波数カウンタ(アンリツ、タケダ計3台)、直線検波器、スペアナ(アンリツ、タケダ計3台)、無線機テスタ(安藤)、ATT、方向性結合器、検波器、インピーダンス変換器等
低周波系測定器 低周波特性試験器(シバソク2台)、レベル計(トリオ)、
シンクロ(日立、メグロ)、ATT等
電力系測定器 DC電圧・電流計、デジタルボルトメータ、クランプメータ、スライダック等
その他 LCRメータ、、デジタル・アナログテスタ、グリッドディップメータ、アンテナアナライザ等
保有測定器について

輝線が全く出ないことより、スペアナ修理というよりオシロの修理と同等であることより、まずブ
ラウン管のヒーター回路よりチェックする。ヒーターは点灯しており正常と判断する次に高圧回路
が出ていないのが判った為、高圧用の発振、整流回路をチェックすると型名MR4A-7Fと表示のある
、整流モジュールの部分ショートが判明。同モジュールを外したが、レジンと思われる素材で固め
られており、内部ダイオード等の交換は不可能である。 内部回路も判別不能であることより、サ
ブ基板に3倍圧検波回路を作成し代用とする。

整流回路を試作中

不良の整流モジュール

モジュールのピン位置にラグ板と端子を立てて高耐圧ダイオードと部品を立体配線して、互いのスパークを防止出来る位置に固定し更にシリコンで絶縁を行う

輝線は正常に表示するようになったが本来の
電圧はでていないため、輝度はやや低下した
。手持ち部品もあり合わせであり、これで良
しとする。写真は電源ユニットの高圧部分カ
バーを外した状態

2.障害 2
(1)障害内容
  基準輝線及び電圧輝線が表示されない  水平方向のノイズのみ表示される。
  但し、時々正常となる。  これは素人修理にとっては大変有り難く、正常、障害時で異なる各部の電圧、
  波形を当該機で比較出来ることより、修理に挑戦することとする。

(2)障害調査及び結果

バーチカル輝線が全く出ないのは、スーパー受信機としてのローカル発振が停止していると判断しSCANGENERATOR/1ST・2NDLOCAL CONTROL PKGの各ICK調査ポイントとなりそうなピンより外部へ配線を出し、ベークの端子板へ接続します。
本来メーカー保守の場合は各基板専用の延長シートを使用しますが、個人の場合はこの方法となります。

各部の電圧や波形を正常時と障害時でどのように変化するかを記録します。  全く変化しないポイントは次の場所へ変更します。 これでどのICの廻りが異常かが判ってきます。  正常から障害へと状態を早く変化させる要素と場所をポイントクーラーやドライヤーで探します。

基板のパターンを読んでそのIC廻りを回路図にします。 これで障害時にどの部品が不良なのか探せるようになります。 今回はVCO用ののこぎり波がQ6 ICC157C(NEC)で正常にアンプされていないことより、手っ取り早くICを同等品のLM301A(NSC)へ交換してみましたが状況は全く変化しませんでした。

障害時のIC出力波形は高い電圧にはりついており帰還が正常に動作していないことが判りました。
よって帰還抵抗を調査すると、固定抵抗と半固定抵抗があり、その半固定抵抗が障害時はオープンと
なることが判りました。  写真は同等の部品と交換した後となります。  

写真のように正常に表示するようになりました。  交換したボリュームは周波数幅を調整するもなのでSGを入力に接続し、SGの周波数とスペアナのディスプレイ表示スパンが一致するように較正します。これで修理は完了となりました。  不良の2KΩボリュームは分解してみると、巻き線抵抗帯とリードを接続する部分の接続が腐食でハズレ掛かっておりこれで不安定になっていたことになります。巻き線ボリュームの不良は始めてです。

上記修理はなんとか直っていますが、運が良かったと思うべきでしょう。  古い測定器では努力次第で修理は可能な場合がありますが、最近のマイコン制御のデジタル測定器ではまず素人修理は不可能と思います。  古い測定器は故障のリスクは高いと思われ、個人で入手を希望する場合迷うところです。  

トランスが暖かい、電圧測定を行う          直流抵抗が6Ω程度となっている

     交換後の新品と不良コンデンサ                   動作確認         

  (3)動作確認
   修理が完了したので、一通りの試験を行い正常動作を確認しました。
   今回の修理では、不良個所の特定が容易であったのと、交換部品の持ち合わせがあった為
   、僅か1時間程度にて完了しました。 非常にラッキーであったと思います。  古い装置ではあ
   りますが、それ故、特殊なICやオリジナル部品もなく修理可能の範囲が大きいこととなります。
   今後も有効に使用して行きたいと考えます。

修理例その3

修理対象装置
 電送特性試験用発信器 OSCILLATOR MG426A 製造番号 M05095 昭和49年 
 アンリツ製本測定器についての資料は一切なし。
(1)不具合内容
  電源を入れてしばらく(約30分位)すると発振周波数バンド切り替えで 10Hz〜100Hz及び100Hz
  〜1000Hzの2バンドにて、発振レベルインジケータが、調整ボリューウムを左いっぱいに回しても
  指針が中央の位置へ戻らない。  実際に装置の出力レベルもアップしている。他のバンドは異
  常なし。
   
(2)不具合調査
  電源を投入後しばらくして不具合が発生するのは、経験上殆どが装置内部の温度上昇により、部
  品の特性が変化するのが原因となる場合が多くあります。  今回の不具合は発振レベルが変化
  するすなわちAGCが正常に働いていないこととなります。  本装置の資料は回路図はもとよりブ
  ロック図も一切ないので、感をたよりに調査を進めます。 まず、ケースの上蓋側面のカバーを外し
  て、構成基盤がよく見える状態とします。  次に不具合状況が発生したら各基盤をポイントクーラ
  ーを吹きかけメーターの変化を監視します。  その結果装置側面に実装されている 332U12421
  (BY1) という印刷のある基盤で冷やすと変化正常方向への変化がみられました。 今度は逆にド
  ライヤーで熱風を吹きかけると悪い方へ変化します。 よって不具合の原因はこの基盤の確率が
  高くなったといえます。
  次に基盤全体の中から不良部品を絞り込む必要があります。 これは、紙等で小さな窓を作るま
  たは、ウエスなどでマスクをして他の部品へ冷気、または暖気がかからないようにして、怪しそう
  な部品を特定して温度試験を行います。  その結果、かなり障害場所及び障害と思われる部品
  の場所が狭まってきます。  次に、周波数特定のバンドへ切り替えると不具合が発生することか
  ら、不具合部品がその  回路に関係していることとなります。 そこで、怪しい部品のリードにテ
  スターを接続してバンドスイッチで電圧が変化する箇所を探します。それが見つかればそのライン
  またはごく近くに不具合部品が  あることがわかります。  
  

(3)不良部品と処置
 調査の結果(2)項の基盤に取り付けられ
 ているC1 22μF/16V が常温では120KΩ
 であるが温度を上げると25KΩまで低下
 する。本来コンデンサなので直流抵抗
 は∞大である。やや劣化が始まり、
 120KΩとなったがこの抵抗値では、回
 路に影響が現れなかったが、温度上昇
 で抵抗が小さくなると回路の動作点が
 狂い不具合が発生したと思われる。
 C1とすぐ上に実装されているC2が同じも
 のなので、動作環境を考慮して同時に交
 換としました。 不良品は横型であった
 が、同じタイプは持ち合わせがないこと
 より、縦型のものと交換としました。

暖めると絶縁が低下する

C1.C2のコンデンサ2ヶを交換

正常動作となった発信器

(4)結 果
  コンデンサを交換後約半日ヒートランを実施するも発振レベルの変化は発生しなくなり一応完
  了とします。
(5)考 察
  発振回路はフィードバックにて出力レベルを制御し、そのレベルをすべての周波数で一定に保
  つ必要があります。 発振出力は検波され直流電圧の高低として制御信号となっており、広帯
  域の発振器の場合検波後の最適な時定数(積分回路)がすべての周波数をカバーできない為に、
  バンドスイッチに連動して切り替えていると思われます。 その為のコンデンサがC1.C2であり
  、その絶縁が低下したために、後段TRの直流電圧が低下し、装置は発信出力が低下したと判断
  して、出力を上げる方向へ動作したと思われます。 不具合時の出力は5dB異常上昇して、波形
  は完全に飽和した状態となっていました。今回の修理は比較的簡単に不具合箇所が特定できた
  為に数時間で完了となりました。    大変ラッキーであったといえます。

修理例その2 修理対象装置 電源
  型名:TPM050−1 製造番号 52002  製造年月 不明 20年以上は経過していると思われる。
      (株)高砂製作所製  仕様 0−25V  1A    0−50V 0.5A
   15年以上前に秋葉原で中古測定器として購入。 以後デスクでのユニット修理や簡易制作などの実
   験用電源として仕様。 修理に際して回路図や試料は一切無し。 よって修理不能の場合は、ケース
   や電圧、電流各メータの再利用とするとの方針で着手することとする。

 (1)障害内容
  使用中に電源方向より、"バチッ"と音が聞こえた後電圧の制御が効かなくなった
    *電圧設定VRを回しても電圧が途中までしか上がらず不安定。ヒューズ断には至らない。
 (2)障害調査      
  基本的に修理者本人が使用中に不具合が発生した時は、その不具合の発生時の状況が判  る場合
  が多い。 今回も音がしてからというのは大きなヒントとなる。 又、故障時にすぐ分解出来る時は、匂い
  や熱の発生で不具合箇所、部品を特定出来る可能性が大である。
 (イ)目視、匂い及び触診による故障個所の推定
  電子装置が故障した場合、回路によって設計値を無視した過大な電流が流れ、部品の発  熱やそれ
  に伴う焼損、破壊が発生することが多くあります。 この場合不具合が発生して間もない時間でケース
  を開くことが出来れば、人間の五感を駆使してその箇所を特定することが出来ます。抵抗が過熱した時
  は塗料の焼ける匂いがし、更に過熱した場合は煙が立ち上ることとなります。 電原系トランス類の過熱
  の場合は層間の絶縁紙が焼けて、油っぽい匂いがします。この時点では触ると熱くなっています。モー
  ルドのダイオード類が過電流で破損る時は中央部分で破壊する又は、モールドにクラックが入っており、
  触ると破損することがあります。コンデンサ類の破損は電解コンデンサの場合は逆付けや過電圧等の
  場合内部圧力でアルミケースが破損して、ガスを放出します。従って、廻りのビニール被服が破れてい
  るので判断出来ます。破損に至らない場合でも膨らんでいることで判ります。タンタルコンデンサの故障
  ではショートが多く過電流で本体の塗料が焼けている、又は破損しています。 これらをふまえて今回の
  事例では、目視では異常は見あたらず、やむなく再度通電状態としたところ、トランスより油の匂いが発
  生し、次第に熱くなってきたので、トランス及びその周辺に不具合が発生したと判断出来ます。
 (ロ)電圧の測定
   即座に2次側の電圧を、巻線の表示に従い測定すると、33V-0V-33Vの電圧がほぼ0Vとなっているの
   が判りました。 この33V:系配線をたどっていくと基板へ入り、その先にオイルコンデンサがあります。
   ここで、先程の目視では気が付かなかったのですが、コンデンサの周辺に異常にパラフィン系の物質
   が基板にこびりついているのが判りました。
    *注意 不具合状態のままで通電し、作業を継続する場合は、素早く行うこと、さもないとトランスの
     絶縁紙はやがて熱により炭化し、トランスそのものも使用不能となります。 作業が短時間で終わ
     れない場合は一旦電源をOFFとして熱が冷めた状態より再開する、これを細切れに行うようにしま
     す。
 (ハ)不良部品の交換
   状態よりコンデンサのショートが最も疑われる為、コンデンサの片足を一旦外し、回路と切り離して抵抗
   測定を行ったところ、約6Ωとなっておりこれが原因と特定出来ました。
      不良コンデンサ: 0.22μF/160V    用途: ACのノイズ低減用と思われる。 ここで、部品交換
      となりますが、田舎での修理で最大の難関が部品の有無となります。
   まず手持ち部品をチェックすると、なんと全く同じ部品が数個発見できました。
   ジャンク部品集めの本領発揮というところです。  早速交換としました。

*注意 高圧回路の部品触診は電源のON、OFFに係わらず感電の恐れがあるので
    行わないで下さい。電源OFF時でもコンデンサに電圧が残っていることがあ
    ります。

測定器の修理例
修理例 その1.
 測定器も長期間使用していると、少なからずトラブルが発生します。 そこで最近修理を
 実施した、アンリツ製スペアナMS62Aの事 例について記載することにしました。

 まず修理の基本として、すべて自己責任で行うこととし、特にブラウン管、真空管を使用している
 機器については高圧回路が含まれる為、感電には十分注意する必要があります。又、
 修理対象の装置について、その動作原理、回路構成について理解しており、障害箇所を障害状
 況より、推測することが出来る能力が必要です。努力の結果、障害箇所(部品)の特定が出来た
 としても、交換部品の手持ち又は、入手が可能でなければ修理は完了しないこととなりますので、
 その準備も必要となります。 また、障害の特定にはある程度の測定器も必要となりますのでこれ
 らをふまえて修理を開始することとなります。
 修理対象装置
 スペクトラムアナライザ MS62 製造番号 M16111 昭和52年4月   アンリツ製
 約15年位前に東京晴海で行われたハムフェアーにて購入し、無線機の自作や修理で使用
 後に他のスペアナを入手したが使い勝手が良い為、もっぱらこちらを使用している。
 勿論、取説始め、回路説明書等の資料は一切無し。

1.障害 1
(1)障害内容
  電源SWを入れてもブラウン管に輝線が全く現れない。

写真は開設当時のもので古い測定器や重複するもの
は随時処分しており、現在はだいぶすっきりしました。